「お金を貯めたければ、家計簿を付けよう」
そんな事は分かっている。でも、家計簿を付けるのは面倒だし、付けるだけでお金なんて貯まらない。付けてみたけど続かない。そんな経験はありませんか?
実は、家計簿を継続して付けられている人はごく僅かで、概ね脱落します。むしろ、家計簿をやめた人の方が合理的な選択をしているとも言えます。時間も労力も使う割に家計が改善されないのであれば、やらない方がよほど効率的ですね。
では何故、家計簿は必要だと言われるのでしょうか?お金が貯まる人はなぜ貯まるんでしょうか。
この記事を書くにあたり、家計簿を「必要」とする記事、「不要」とする記事を100記事以上参考にして、家計簿の必要性について調べました。
この記事を読むと、家計簿が必要な理由だけでなく、家計簿を続ける工夫、家計の改善に着手する際の注意点を知ることができます。それによって、あなたの財布、あなたの暮らしが豊かになるヒントが見るかるかも知れませんので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
統計から見る家計簿の作成状況
2019年1月発表、4,000人を対象にした家計簿調査(マーケティングリサーチ会社:アスマーク)によると、家計簿を付けている人は46.8%、付けていない人は53.8%でした。また、付けている人の形式としては、手書きのみが45.7%と最も多く、次いで「パソコン」「アプリ」だったとのことです。家計簿を付けている人は約半数ですが、その中で「続いている人」は更に絞られます。(家計簿調査に関するページはこちら)
家計簿を不要と思う理由
では、家計簿を不要とする方の考えはどうでしょうか。あなたは当てはまっているでしょうか。
・面倒くさい
・効果がない
・お金に困ってない
程度の違いはあれど、家計簿を付けない理由は上記3つのいずれかに収まると思います。そして3つ全てが正解です。対して効果がないのに、面倒な家計簿なんてやってられませんよね。「そもそもお金に困ってない」という意見はごもっともです。我々は意外と合理的な判断を下しているのではないかと思います。
ゲームをやってみましょう
ここで一つ、ゲームをやってみましょう。家計簿を付けてない人はもちろん、付けている人もです。あなたが勝てば、早々にこの記事から離脱してください。
用意するものは預金通帳とメモ道具。手順は以下の通りです。(通帳が更新されてない場合は、後でやってみてください)
1.何も見ず、年間の手取り収入、支出、貯蓄額をメモ
2.通帳で年間の手取り収入を追記
3.通帳で年間の貯蓄額を追記
4.上記の手取り収入(実績)から貯蓄額(実績)を差引いて支出額(実績)を追記
さぁ、予想と実績の答え合わせをしてみましょう。いかがでしたでしょうか。手取り収入は予想と実績との差が少ない傾向にありますが、実際の支出、貯蓄額は想定以上に厳しい結果になったのではないでしょうか。
もし、あなたの支出(貯蓄)想定と実績の差が年間20万円以上(月額2万程度)あれば、改善の余地が十分にありますので、是非最後まで読んでください。
付けなくても貯まる人、付けても貯まらない人
では、家計簿を付けなくても貯まる人はどんな人でしょうか?
調べてみると、以下の2パターンとなりました。
付けなくても貯まる人の特徴
①支出よりも収入が十分に多い
②特別費を含む支出をコントロールできている
①は文字通りです。特に夫婦共働き世帯では、支出を抑える必要がないほど収入が高い家庭が多いのではないでしょうか。
②は凄い人です。自分、または家族の支出をしっかりとコントロールできている証です。先取り貯蓄をして、残りのお金で生活できるタイプの人です。変動費、固定費のみならず特別費までカバーできるのは素晴らしいとしか言いようがありません。
付けても貯まらない人の特徴
次に、「家計簿を付けても貯まらない人」の特徴をお伝えします。
①記録を付けることが目的化している
②家計改善に着手できていない
③関係者(パートナー)の支出がコントロールできない
①は、キレイな家計簿を作って満足してしまう、力尽きてしまうタイプです。現状把握に留まってしまい、財布が豊かになることはありません。家計簿は記録であり、そこから先のアクションが道を分けます。家計簿作成にかかる労力を減らすことが、あなたが次に起こすべきアクションです。
②は意外と多いのではないでしょうか。記録はあるけど、何をどうしたら良いか分からない人。何もできなければ、家計簿は意味のないものになってしまいます。そんな方は、後半の「続くための工夫」にある通り、複数の改善メニューを同時並行で実践してください。トライ&エラーを繰り返して、自分に合った改善方法を模索する段階にあります。
③はどうでしょう?1人暮らしなら自分のペースで改善できますが、パートナーの意識が低かったり、協力してくれなかったりすると、改善に着手することができません。パートナーが居る場合には、家計改善のハードルは更に高くなります。詳細は後述しますが、パートナーに押し付けないよう、自分ができる改善方法を宣言し、実行しましょう。
家計簿は、過去の消費を振り返るツールの1つに過ぎません。お金が貯まらない人は、家計簿に過度な期待を寄せているか、貯金ができないことを家計簿のせいにしている可能性があります。
貯蓄を阻む3つの要因
次に、貯金を阻む要因について解説します。お金が貯まらない人はもちろんですが、家計簿を付けなくてもお金が貯まっている人も要注意です。その理由は以下の3点です。
家計の自然増
お子さんがいる家庭の場合ですが、例えば5年後、10年後の家計を想像してみてください。子供が幼稚園から小学校、中学校~と進む過程で、生活費、学習費はどの程度変わるでしょうか。100%費用は増えます。さらに高校、大学ともなると学費もかさみ、収入が上がっていたとしても家計は厳しくなってきます。
そう考えると、今が一番の貯め時です。子育て世代は豊かな暮らしに目が行きがちですが、将来の備えを意識しておかなければなりません。
家計簿を付けない理由として「お金に困ってない」という考えがありましたが、支出のピーク時に、収入で全て賄うことは果たして可能でしょうか。
パーキンソンの法則
イギリスの歴史・政治学者が提唱した法則です。「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というもので、収入が増えるにつれて生活レベルを引き上げ、支出が増えてしまう、結果的に貯蓄はできない、という法則です。
高収入でも貯金ができない人が多いのは、この法則の通り、家や車、子供の教育費や衣類、交際費が上昇してしまい、実は家計が火の車、という現象が起きています。
現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、「変化」や「未知のもの」を避けて現状維持を望む心理作用のことです。変化を「安定の損失」と認識して、現状維持に固執してしまいます。
変化には必ずメリットとデメリットがありますが、変化による損失から得る苦痛の方が大きいと判断して非合理的な選択をする傾向があり、何かを始めようとした時、心のブレーキがかかってしまいます。
たとえ今が非効率的な家計運営をしていたとしても、変化を嫌気し、非効率な状態を維持する性質が私達に備わっていることを意識した上で、家計改善に取り組むべきと考えます。
更に厄介な事には、コロナのような外部要因で収入が大きく減っても、自分達の生活レベルは引き下げられず、結果的に財産を失ってしまうことにも繋がります。
上記を踏まえると、今が貯め時と考え、生活レベルを引き上げずに家計をキープできるかどうかがカギになります。そして、その鍵は「家計簿」が握ることになります。
家計簿の価値とは何か?
では「家計簿の価値」とは何でしょうか。家計簿は記録であり、ただのデータです。しかし、家計簿作成にはデータ収集とは異なる意義があります。
自分の価値観で支出を振り返る
お金の使い方は人それぞれで、個々の「価値観」が強く影響します。モノの値段は同じでも、高いと感じる人、安いと感じる人がいます。家計簿は、人から見た「主観」と、データとしての「客観」が併存するため、過去の支出が「良い出費」だったのか、「悪い出費」だったのかを自分軸で判断できます。
他人の家計簿を覗いた時、参考にはなるけど、自分に置き換えて改善を実践、「あなた軸」ではないからです。続かないし、ストレスになります。
家計簿を付けて、改善を続けるコツは、自分軸で判断して、お金を多く使いたい所、満足度の高い消費に集中し、満足度の少ない所は節約するといった行動を連続させることです。
自分の尺度で家計を改善しなければ続かない
精度の高い過去データが取れる
家計簿を題材にしていると、「前月と比較して支出多かった、少なかった」と論じるケースがあります。実は、家計支出は月ごとに大きくブレます。固定資産税やクリスマスのようなイベントのみならず、水道代やNHK受信料など、隔月払いや年払いなど、支出の波が発生します。是非とも「前年比」で考えてください。すると、定例のイベントが意外と多く、特別費は単なる「年に1回の定例支出」としてコントロール可能です。
日々の家計支出は感情に大きく影響されます。同じ支出でも全く想定外であった場合と、想定内の支出では節約に対する持続性が全く変わってきます。できるだけ「想定内の支出」を増やしておくことが大切です。
前月ではなく1年前の自分と比べてみる
家計簿を続けるための工夫とは?
冒頭にお伝えした通り、家計簿を付けること自体、時間と手間がかかります。また、家計を改善する、節約するという行為は、自分の行動を否定することにもなるため、精神上にも多大なストレスをかけるので、できるだけ手間を省き、改善にストレスをかけない工夫が必要です。
データ収集に労力をかけない
まずはデータ収集です。手書きの家計簿は愛着が湧きますが、記録に手間をかけないでください。筆者は家計簿アプリ「マネーフォワードME」を使って家計をチェックしています。
無料版でも十分な機能ですが、有料版でポイントの期限をアラートしたり、口座引落のアラートをしてくれる有料版を使っています。
家計改善の選択肢は複数かつ同時並行
記録を取って改善を図る際、節約方法を1つだけに絞らないようにしましょう。改善のアプローチ方法は節約の他にポイント等で埋めるなど、数多くあります。取り組みやすい所から開始して、向いてなければ一旦保留にして次に移る。最終的に家計が改善すればOKですので、複数の選択肢を常に持っておきましょう。
パートナーと共有し改善を楽しむ
パートナーがいる場合は特に意識して欲しい事項です。家計は自分の支出だけではありません。相手の協力がなければ成就しない可能性の方が高いです。節約を相手に押し付けるようなことがあってはなりません。
後述しますが、まずは自分が取り組むメニューをパートナーに宣言し、それを見守ってもらいましょう。月次の振り返りで経過を報告することをおススメします。これを続けられると、パートナーはあなたの取り組み、真剣さを認め、家計改善に協力してくれるスタンスに変わります。相手を変えたいなら、まずは自分から変わり、それを証明しましょう。give and takeは、giveが先に来るように、まずは実績を作りましょう。
家計改善の注意点
最後に、家計簿を付けていくにあたっての注意点を解説します。家計を改善したい!という気持ちは殊勝なものですが、ややもすると自分を追い込んだり、家族にとって迷惑な行動を取りかねません。有りがちな(筆者が失敗した)注意事項を挙げます。
家計簿作成、家計改善は自己満足
自分はやる気になったとしても、周りの人、家族は何とも思っていないはずです。ややもすれば迷惑行為となります。自己満足だとわきまえる事で、周囲との温度差に対しても冷静に対応できます。
プライバシーを守る
家族を含む家計簿を作る場合は、相手の支出を把握する必要が出ます。その時、あなたはどうしますか?家族と言っても他人です。プライバシーは守りましょう。
具体的には、生活費用のクレジットカード(家族カードがおすすめ)を渡し、生活費はそこから支払ってもらうか、レシートを渡してもらいましょう。自分がやられて嫌なことはしないようにしましょう。
自分がファーストペンギンになる
家計簿を付けると、自分以外の支出が気になり「ここを節約して、あそこに無駄がある」と指摘しがちです。しかし、上記の通り家計簿作成は自己満足です。改善したければ、まずは自分の支出を見直しましょう。南極の海に先頭を切って海に飛び込む「ファーストペンギン」になってください。
パートナーに宣言する以外に、SNSで見栄を切ってしまうのも良いです。人は格好つけたがるものなので、その方が目的を達成できたりもします。
実績が出ると、周りもあなたの取り組みを認知し、改善に協力してくれます。まずは自分のムダをなくす所から始めましょう。
まとめ
お金と時間の使い方ほど、その人の価値観が具現化されるものはありません。一方で、お金も時間もなんとなく使ってしまいがちです。自身が満足するお金の使い方、時間の使い方を、家計簿を付けることによって考え、改善していただきたいと思います。
家計簿は、お金を貯めるための基礎的なツールですが、付けることが目的化されたり、単発の節約で終わったりと、勿体ない状態で終わるリスクがあります。
現状把握の時間を省き、改善することに時間と労力を費やせば、あなたの財布はもちろん、暮らしも豊かになります。
当ブログでは、運用に頼らず、①記録②節約③ポイ活の3つで「貯める力」を育てることをテーマに構成されています。
まずは①記録を手間なく解決することで、節約やポイ活に集中いただきたいと思っています。
家計簿は手書きの方が支出の1つ1つを振り返ることができますが、ここは効率性を重視しましょう。家計簿アプリは無料でも十分な機能を発揮するため、皆さんの貯める力を育てるために大いに役立ちます。